寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

究極のルビ活用術

不勉強なジャンル・本格派中国時代劇を鑑賞しながら、時代もの特有の言い回しや漢字の使い方、それにルビの振り方などを研究しています。

 

最近視聴しているのは全60話ほどの長編ドラマなのですが、翻訳チームが何名体制だったのかも個人的には結構気になるところ。とりあえず現時点では4名のお名前を拝見しておりますが、どのエピソードも何のズレもブレも感じさせません。擦り合わせがお見事で、きちーんとまとまっているのがスバラシイ。そんなところばかりに心が奪われているせいで、肝心のストーリーが全く頭に入ってこないのですが。ダメじゃん。

 

研究の途中ではありますが、お堅いトーンの時代ものは漢字多めでルビもガンガン振ってよし、作品の雰囲気を字幕でも表現せよ!という感じ…ですかね。固有名詞も人名もあらゆるものにルビ・ルビ・ルビ。ワタクシなんかは登場人物が3人以上出てくるだけで「えーと…あの人誰だっけ?」と大混乱に陥るものですが、今回も然り。しかも俳優さんは皆さんツヤ黒髪を頭のてっぺんでキュッと結った髪形だし、キリリとした美男顔まで同じで、全く見分けがつかず。苦し紛れに眉毛とヒゲで分別を試みています。

 

それにしても、格調高い言葉が出てくるわ出てくるわ。「私」ではなく「こなた」、「あなた」ではなく「そなた」、「お前」ではなく「そち」などなど…ものすごく勉強になります。ひざまずく目下の者に向かって、「面(ルビ:おもて)を上げよ」とか、おお、かっこいい。子供を叱った時とかに使おうかな。ひざまずかれないけど。「近(ルビ:ちこ)う寄れ」なんかもありました。まさに水戸黄門暴れん坊将軍の世界でございます。

 

と、いろいろなお初ものをるんるん気分でメモっているわけですが、漢字ひとつに4〜5文字のルビがついているものを何度か拝見して「へぇ~!」と思った例がこちら↓

 

政(まつりごと)

詔(みことのり)

古(いにしえ)

理(ことわり)

 

ひえーー、こんなの見たことない!前後の文字にかかっちゃうくらい長いルビの数々。こういうのは本格派時代劇に限って使用OKだと推測しますが、いやはや、知性がにじみ出る字幕、とでも申しましょうか。インプットなしでは不可能なアウトプットでしょう。こういう引き出しをどんどん増やして、いつかサラっと使えるようになりたいものですね。精進、精進っと。

 

うちのテレビは時代劇専門チャンネルが見れるので(なぜかは聞かないでください)、時間を見つけて『遠山の金さん』でも観てみようかしら。

 

それでは、時代劇ネタの最後を飾るのはやはりコレで!


PV 松平健 マツケンサンバⅡ