寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

嗚呼、スクリプト

さてさて、翻訳中の華ドラですが、初っ端の担当話はスクリプトの支給が間に合わず、映像に焼き付いている中国語字幕をもとに字幕を作ることに。これがとっても手強い作業でございました。

 

英語なら「オッケー、どんどこい!」でも、中国語となると話は別。その理由は、ワタクシの脳ミソでピンイン読みができる漢字の数が限られているからに他なりません…己の決定的な実力不足のせいで、ものすごく苦労する羽目になりました。読めない=意味を調べられない、というアホ過ぎる悩みの勃発です。

 

どんな感じで訳入れをしていたかと申しますと、

①PCで映像を流しながらスマホをかざし、焼き付いている中国語字幕を中国語アプリでスキャン

②正しい中国語が表示されたら(スキャンで読み取れなかったら再度チャレンジ)ピンインをチェック、PCにタイプして辞書を引く&紙の辞書を引く

 

…と、文字に起こすとたった2つの工程なのですが、1つのセリフごとにスマホをかざしてカメラボタンを押してスキャンする、という作業がいかに面倒なものかお分かりいただけますでしょうか。さらに、ピンインをタイプしたあとに同音の漢字たちの中から正しいものを選択する、というワンクッションもあり。うう…。

 

極めつけは、支給されたスクリーナーの映像が粗すぎるためにスキャン不可能、youtubeにアップされている映像はクリアーなものの、一時停止すると画面下に出てくる赤い線が字幕に被りこれまたスキャン不可能…という負のスパイラル。そのうえ、中国語字幕がご丁寧に細かく分かれているので、まとめてスキャンもできません。「この漢字読めねー」「これも読めねー…」そうこうするうちに、いつの間にか腱鞘炎の一歩手前に。

 

やってもやっても進まない。このままではマズい…と強烈な危機感に襲われ、手遅れになる前に質問をまとめ、中国人の友人を自宅に監禁し、「これどういう意味?」「ここは故事成語ね?」と3時間に渡り質問攻めに。友よ、よく耐えてくれた…。おかげで何とか納品前に形になりました。

 

後日、無事にスクリプトは支給していただいたのですが、タイムコード付きの中国語字幕をそのまま起こしたデータでした。ゆえに話者の表記もありませぬ。スクール時代には「原文ウィンドウには必ず話者も入れてください」と教わりましたので、話者の追加コピペも頑張ります…はい。

 

何といいますか、こういう類の果てしなく面倒な作業こそ丁寧に仕上げてみせるぜ!という妙な意地を張ってしまうのですよね…はてさて、これが吉と出るか凶と出るか。