寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

映像翻訳の学習本あれこれ

2年前の一時帰国中にBOOKOFFで映像翻訳関連の本を何冊か購入し、スクールの講座が始まるまで自習本として活用していました。今でも復習を兼ねて時々パラパラめくっています。原点回帰の意味も込めてまして、お仕事待ち期間に入った記念(なんだそりゃ)に、ここらで振り返ってみようと思います。

 

『はじめての映像翻訳』

はじめての映像翻訳

はじめての映像翻訳

 

 本当に「はじめて」学習する方、日英・英日両方やったるぜ!という素晴らしいモチベーションをお持ちの方が喜びそうな一冊。「セリフを訳すとは如何なるものか」をとっても丁寧に教えてくれます。本格的な字幕翻訳の練習問題が登場するのは最終章のみですので、とにかく問題をガンガンこなしたい、という方にはやや物足りないかもしれませんね。この本は手に取る回数が一番少なかった…と記憶しています。

 

 『アルク翻訳レッスンシリーズ[メディア翻訳] 映画翻訳入門 』

字幕と吹き替え両方の練習問題にガッツリ取り組めるオイシイ一冊です。作者一覧をチラ見した途端にひれ伏したのは私だけではないはず。レジェンドの先生方の訳例(+試訳へのダメ出し)をたっぷりと堪能でき、各練習問題でミニ講義を受けているような妄想にひたることができます。あゝ何という贅沢。随所に挿入されたコラムがこれまた大変ためになる内容で、そこがハイライトの嵐になっています。本の背からパッカリ割れてしまうくらいよく読みました。

 

『翻訳者になるための練習問題100 映像翻訳/字幕・吹き替え編』

こちらも字幕・吹き替え両方の練習問題集をお探しの方にピッタリの一冊。初級編から総合編へと徐々に問題のレベルが上がっていくので自主学習のお供に最適です。『アルク翻訳レッスンシリーズ…』を濃度60%くらいに薄めた感じで、1つの問題のセリフ数が少ないので息切れせずにサクサク進められます。

 

番外編

『字幕翻訳とは何か 1枚の字幕に込められた技能と理論』

一昨年、スクール時代に購入したのがこちら。上の3冊とはまっっっったく異なる視点から字幕翻訳のメカニズムを徹っっっっ底的に掘り下げた1冊です。JVTAに入学でもれなく1冊、お友達が入学するともう1冊無料でプレゼント♪とかしてくれるのでしょうか。

 

これを読んで覚醒してしまう学習者さん、いらっしゃると思います。個人的には目からウロコのオンパレードで体中に電流が走るくらい衝撃を受けた革命本だったのですが、「字幕翻訳界で話題沸騰!マスト・リード!」という扱いをされているかと思えばそうでもないようで。なぜでしょうか…。

 

何だかブックレビューのような記事になってしまいましたが、決して回し者ではございませんのでどうか誤解なさいませんように。

 

要領がよくて頭のキレる方なら、こういった学習本でも十分かもしれませんね?私は生身の人間に尻を叩かれないとダメになるタチなので、スクールが唯一の道でしたが。ハウツー本だけでプロデビューしました、という方がいらっしゃったら是非お話を伺ってみたいなぁ、とつくづく思うのです。

 

私「学習本だけの独学でデビューなんて素晴らしいですね」

📖「そんなことないです」

私「浮いたスクール代で何買いましたか?」

📖「SST

私「…」

 

実績ゼロ・赤字経営から抜け出せる日は来るのだろうか…