寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

いざ、SST購入

お仕事を始める前の準備段階で最後の金銭的負担……乗り越えるべき壁。それは、SST(字幕制作ソフト)の購入ではないでしょうか。実績ゼロ、手持ちの仕事ゼロ、スクールを修了したばかりのヒヨッ…いや、卵の中からコンコンしているヒナのような私には、なかなかのコミットメントであります。

 

「買ったはいいけど仕事が来ないからすぐチケットの更新時期になる」という話をどこかで又聞きして以来、自分もその沼にハマるのではないかという恐れから「お仕事のご依頼をいただいた時点で購入する」という消極的な姿勢でいたものの、その考えが甘かった。お目当てのNETSSTG1=「“NET”っていうくらいだからネットでサクッと購入して、即日作業OKでしょ」と多大なる勘違いをしていた私。ドングルなしのスクール版に慣れきっていたせいで、プロ版の使用開始にあたりドングルが要るという基本事項がすっかり頭から抜け落ちていました。

 

ありがたや、SST購入にはスクール割引を利用できるので、まずはスクールの先生がカンバスさんにドングルの海外発送についてコンタクト。すると「日本郵便は国際郵便物の引き受けを一時停止中ですので、通常のEMSでは発送することができません。現時点ではFedExでしたら大丈夫なようですが、状況は日々変わりますので何ともお約束は…」とのご返答が。むむ。そしてFedExにグレードアップしたおかげで、自腹の発送料も1万数千円(!)にグレードアップ。ヒーー!

 

しかし、ふいに翻訳の神様の御ことばが天から聞こえてきたような気が。

「…イマシカナイ」

「…ショキヒヨウ、ケチルナ」

「…マヨウノデナイ」

「…カッテシマエ」

いえ、白状すると全て頭の中で聞こえた己の心の声です。

 

ここで尻込みする→世界の状況が更に悪化してFedExのサービスも停止する→ドングルが入手不可能になる→何か月も手持ち無沙汰になる→「あの時買っておけば」と髪を掻きむしって激しく後悔する→廃人になる…という悪循環に陥るなんてゴメンだ!今こそ即決の時。その日の為替相場には目もくれず、思い切って購入に踏み切りました。カンバス社員さん、リモートワーク中かと推測しますが、その日のうちにドングルを発送してくださいました。迅速なご対応に感謝です!

 

その日以来FedExの追跡サービスから片時も目を離さず、スマホ画面に「飛べ!」「降ろせ!」と意味のない念を送り続けています。2カ国を経由してあと一息!どうか無事に届きますように。来たれドングル、いやFedEx 。ということで、配達待ちの間にSSTのマニュアルをカンバスさんのホームページからダウンロードし、舐めるように読み進めています。全124ページ中、まだ30ページですが。知っているようで知らなかった機能も、予備知識としてできるだけ頭に叩き込んでおきたいものです。

 

お仕事の依頼をいただいた時に「お待ちしてました!」と気持ちよくお返事できるように。ただ、それだけです。

 

S(全ては)

S(仕事の)

T(ために)