寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

お蔵入り

去年のネタですが、担当作品が配信日の4日前に突如お蔵入りになったことがありました。

 

納品後にチェックバックも頂戴し、しかと対応し、普段のようにニヤつきながら配信日を心待ちにしていたので、作品が吹っ飛んでしまいガッッックリ。最初は「マズい!なんかイケない字幕があったのかも!?」と焦りましたが、それなら再チェックバックなり何かしらのご連絡があったはず。出演者が何かやらかして逮捕されたかと思い調べてみましたが、そうでもないらしい。しばらく考えを巡らせます。以下、憶測です。

 

この作品、60年ほど前のものなのですが、あるシーンで主人公がアジア系の人物の身体的特徴をマネをしたうえで、口マネのつもりで「Ah-So!」を連発していました。「Ah-So!」というのは日本語の「あ、そうですか」が語源であり、時として中国人のモノマネとして発せられるフレーズであり、やや差別的と捉える人もいます(中国人のマネしてんのに日本語が語源という時点でアレですが)。…というふうに申し送ったうえで、字幕では省略したのですが、うーん、これが引っ掛かったのか否か。作業前に作品の英語レビューを読み漁っていたところ、「あのシーンは本当に残念だった」という視聴者の意見を目にしていたこともあり、ひょっとしたらひょっとするわけですが、今となっては真相は闇の中です。あれをのぞけば、本当にいい作品だったんですけどね…

 

いわくつきの作品といえば、いつだったか、日本人のガールフレンドをフルボッコにして逮捕された俳優さんの主演作品を担当したことがありましたが、あれがOKでこれがNGとは、なんとも世知辛い。いや、お蔵入りになった理由は本当に分からないのですが。

 

どうかどうか、字幕が理由でありませんように。ブルブル。