寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

トライ・アンド・エラー

このブログ、映像翻訳を志す方々にお読みいただいているかどうかは分かりませんが、「スクール時代には教わることができない、お仕事の場でのアレコレ」が知りたいという方がもしいらしたら、この記事はその方々に捧げます。なんて偉そうなことを言っておりますが、ただの「やっちゃった話・二連発」です。どうか皆様は同じ轍を踏みませぬよう。

 

先日納品した長尺の翻訳中、専門外の言語のセリフがスクリプトから抜けており逆立ちしても何を言ってるのか分からない、というケースがありました。とりあえず全編からスクリプト抜けを全て(←これ大事)ピックアップし「ここからここまで抜けてます」と正確なタイムコード(←これも大事)を取引先に伝え、クライアントに問い合わせてもらいました。

 

すると先方から「スクリプトのどの部分か分かるように印をつけて送ってほしい」とのお返事が。追加のリクエスト、みたいな感じでしたが、なるほど、そこまでは考えてなかった。かゆいところに手が届く翻訳者さんなら一本のメールで済むところを、勝手が分からない私はこの件だけで何度かメールを行き来させることに。取引先の方も本当に忙しそうなので、こんな初歩的なことで手を煩わせてしまって申し訳ない…。

 

今後は

①タイムコード

②ハイライトしたスクリプト

スクリプトのページ数

をもれなくお伝えすれば間違いなし!ですね。もちろん、取引先によっては対応が異なるかもしれませんが、とりあえず覚え書きを。

 

当たり前のことなんですが、自分以外の誰かが同じようにこの作品を隅々まで見てるわけがない、という事実が頭から抜け落ちていました。ゆえに、伝え方が全然なってない。こんなんじゃダメだ…百歩譲って前向きにとらえるのであれば、これで次に同じケースに巡り合った場合は、どうすべきがよーく分かった!ということですが。

 

そんなこんなありましたが、結局納期までにご回答は頂戴できませんでした。あれれ。

 

続きまして、さらに高レベルでやらかした話を。

 

前述の長尺の作業中に、ひょんなことから過去作の字幕で犯した小さな過ちに気づいてしまったワタクシ。「似た言い回しだけど、使い方が違う」系にひっかかっていたのです。それも、全編を通してチラホラ出てきた歌詞の一節を…。シリーズ前半はクライアントに納品済みと伺っていたので既に手遅れですが、後半ならまだ間に合う。可能なら正しい日本語に修正していただきたい。よかれと思って取引先に白状したのですが、「こんなこと、今さら言われても困ります」と苦言を頂戴したあげく、「次からは最終チェックをしっかりやってから納品してください」と釘を刺される始末。うっうっ…おっしゃるとおりです。言い訳はいたしません。数か月前のケアレスミスに今さら気づいたこちらがバカなんですもの…。

 

お伝えしたのは間違いだったのか。一度納品すれば、もう自分の手を離れたものとしてノータッチを貫くべきなのか。あちらの逆鱗に触れてしまったことで、あれから色々考えていますが、未だに答えが出ていません。とにかく、語彙力、日本語の知識、判断力…オールマイティに底上げが必要であることは間違いありません。

 

先輩の翻訳者様たちのご意見もぜひ伺ってみたいところです。「分かり切ったこと言ってんじゃないわよ!」とかでもよいので…いかがでしょうか?