寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

戸田奈津子先生にいただいた言葉

字幕翻訳という仕事に淡い憧れを抱いていた学生時代に「やらかした」話です。

 

大学に入学して間もなく、戸田奈津子先生が特別講義でいらっしゃると知った私は、先生宛てに手紙をしたためたうえ、あろうことか講義のその場で手渡ししようと目論んでいました。友人にツーショットを撮影してもらおうと、懐にカメラを忍ばせていたような記憶も…若いってコワイですね。

 

ともかく講義は無事に終了し(内容は全然覚えてませんが、最前列に座っていたことは覚えています)、質疑応答の時間へ。真っ先に手を挙げ「戸田さんに手紙を書いてきたんですけど、渡していいですか?」と聞くと、ご返答は「あとで」。

 

結局そのまま質疑応答が終了し、舞台袖に消えた先生とアシスタントの女性。諦めきれない私はすぐさま舞台へよじ登り、先生を追ってバックステージへ猛ダッシュ!お二人に追いついて呼び止め、手紙を渡すことに成功したのです。

 

私の顔を見て先生が放った言葉は、「あなた、愛媛県の知事に似てる」。あまりに予想外のご反応に、かろうじて「そうなんですか」と返すのみでした。何年たって噛み締めても、味のあるお言葉です。

 

ちなみに手紙の内容はほとんど覚えていませんが、「『タイタニック』には本当に感動しました」とか「映画の字幕が大好きです」とかに混じって、「お友達になってください」とメールアドレスを記したのははっきりと覚えています。もちろん、返事が来なかったから覚えてるわけですが。

 

時折思い出しては、「大学卒業したら弟子入りさせてください」と書いておけばよかった…と今でも後悔しています。たとえそう書いてもシカトされて終わり、でしょうが。

 

戸田奈津子先生が現役のうちに、プロデビューすることが目標です。私のミーハー魂に火をつけた先生に心から感謝するとともに、今お伝えしたいことは一つ。

 

…メルアド、あの頃のままです。