寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

太田直子先生を偲ぶ

華ドラの最終話も無事に納品が済み、昨年の9月以来、約4か月ぶりに手持ちのお仕事ゼロ!になりました。ああ、この解放感!さっそく昨日の午後はWOWOWさんで映画を丸々1本鑑賞し(なんという贅沢!)、マンガ『三国志』からメモった(&たまった)セリフを自分辞書に追加し、出来心で図書館から借りてきた『愛の流刑地』を読みながらハァハァし、ひたすらグータラしております。

 

愛の流刑地』の何がスゴイって、遠距離で逢瀬を重ねる2人が利用する新幹線ですよ。ふらっと東京駅に行って、20分後に出る新幹線のチケットが買えるですって!?で、2時間半後には京都に着いてるって!?この感動、伝わりにくいかもしれませんが…日本の新幹線がもたらすモービリティ、半端じゃありません。

 

さてさて、去る1月10日は、太田直子先生の命日でした。ジャック・ブラックを敬愛する私にとって、先生の担当作でダントツのお気に入りは『スクール・オブ・ロック』なのですが、おそらく先生もジャック・ブラックのファンだったのでは…と推測しています。なぜかって?それは先生がご自身の著書『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』の中で『スクール・オブ・ロック』の主人公の名前を“ジャック”と呼んでいるからです。正しくは、“デューイ”ですよね?編集者の方もここまでは気づかなかったのでしょうか。読者も意外と気づかないのかな?このネタ、いつか誰かに言いたかったので、ここにコッソリと書いておきます…

 

ともかく、先生の脳裏にはジャック・ブラックの演技が鮮烈に残っていて無意識のうちに“ジャック”と呼んでしまったに違いない。きっと先生もジャックに魅了されたに違いない。まあデューイのキャラは、ジャック・ブラックそのまんま、という感じですものね…重なるのも無理はないか。

 

私は太田直子先生の上記の著書に加えて、戸田奈津子先生の『字幕の花園』を持っておりますが、この2冊を読み比べてみると、とっても面白いのです。ハリウッドのAリストセレブとキャッキャしながら「イキイキ英会話♪」を教えてくださる戸田先生と、業界の裏側にスポットライトを当ててブラックユーモアを炸裂させながら恨みつらみを語り尽くす太田先生、まさに業界の光と闇です。どちらの本も、唯一無二の味わいです。ついでに言うと、清水俊二先生はご自身の著書の中で童貞を卒業した夜のことなんかも記されていますよね…(ポッ)。どなたか同じ本をお読みになった方、いらっしゃるかしら。

 

時間もできたことですし、近いうちにいろいろ再読してみようと思います。それでは、お別れはジャック・ブラックの美声で。天国の太田直子先生に届け!


Jack Black and Will Ferrell "Get Off the Stage" Oscar® song