寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

歳月

おかげさまで無事に日本滞在を終え、さっそく現実に引き戻されております。記憶がフレッシュなうちにあれこれ記しておこうと思いつつ、あっという間に2月になってしまいました。休暇明け1発目のお仕事を1月下旬にねじ込み、ありがたくも2月は新規案件で大体埋まり、その合間に10万年ぶりのトライアルをぶっこみ、またまたその間にタミル語クラスの予習復習をバッチリこな…せてるわけないんですが、できるかぎり頑張ってます。

 

前回の日本滞在は丸5年前でしたが、何が感慨深いって、あの頃から今に至るまでの己の成長具合ですよ。というのも、5年前といえばまだスクールに通う前の時期で、情報収集も兼ねて先輩たちのブログを片っ端から読み漁っていたんですよねえ。BOOKOFFで『タイタニック』(戸田奈津子先生)と『マンマ・ミーア』(石田泰子先生)と『ソーシャル・ネットワーク』(松浦美奈先生)をゲットし、なるには系の本や業界紙をありったけ持って帰りましたっけ。それが今回はどうですか。いつの間にやら、かの先輩たちと個人的に交流するポジションまでたどり着き、日本滞在を口実にアポを取り、一緒にコーヒー飲んだりキャッキャしたり名刺交換したりして、5年越しに無事にストーカーを卒業しましたよ。なんという進歩でしょう。まあ、5年の歳月が経ってるわけですから、ね…。ちょっとは前進してないと困るわけですが、振り返ってみると涙腺が緩んじゃうわけです。

 

なんて言ってる間にやってきた新規案件のスタイルガイドを拝読していたら、「翻訳者名等のクレジットは取り除いてください」という一文を発見して、別の意味で涙腺が緩んでます。「取り除く」?これは…えーと??念のために手元の辞書の定義を調べてみませう。

 

「不要なものを取ってなくす。取り去る」(明鏡国語辞典

「おおっているもの、上にあるもの、表面にあるもの、また、邪魔になるものなどを取ってほかの場所へ移す。排除する。とりのぞく」(精選版 日国)

「不要なものを取ってなくす。取り去る」(大辞林

「取ってなくす。とりのける」(デジタル大辞泉

 

なるほど。書き方を和らげれば涙も止まると思うので、考えてみました。(どんだけヒマなんだ)

 

クレジットは不要です。

クレジット抜きでご納品ください。

クレジットはご遠慮ください。

クレジットはお控えください。

クレジットなしでOKでーす。

 

これならどれでも、個人的には「あ、はい、承知しました!」と言えそうですが、いかがでしょうか(何が)。5年後の今頃には、こういうクライアントさんをお取引先から「取り除く」ことができているとよいのですが…!精進、精進。