寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

嗚呼、広東語

目下、広東語ドキュメと格闘しています。これ、個人的に一番不得意なジャンルかもしれません(オマエ、この間、リライトが苦手だと散々嘆いていたではないか)。

 

ここ数か月、同一の制作会社さんから香港絡みの作品ばかりやってくるのですが、このまま広東語要員に収まってしまいそうで不安が拭えません。ご依頼時に「中国語の作品です」と言われてホイホイ受ける→フタを開けたら広東語、というパターンが続いています。いい加減学べよ。これが終わったら、次からは何が何でも普通語か広東語か明記してもらうようにしよう。先方が違いを分かっていらっしゃらない可能性がかなり高いので、こちらからきちんとご説明しないと。

 

何が厄介かって、話の途切れ目が全然分からないのですよ。話者が若い世代の方ならハッキリ分かるんですが、ある程度上の世代の人たちのよどみない広東語はマジで&*$#@です。何とか中国語字幕つきの映像を入手して、字幕が表示されるタイミングに合わせて原文を入れていくわけですが、労力がかかるんだこれが。再生、停止、再生、停止、巻き戻し、巻き戻しすぎて早送り、早送りしすぎて巻き戻し、再生、停止、再生、停止…をハコの数だけ繰り返す。ああ、クラクラする。

 

おまけに、ご存じでしたか?媒体によって中国語字幕の内容が微妙に違うんですよ、奥さん。字幕から漂う「あーここは言い換えてるだけだから省略でいっか」とか「なんかよく分かんないけど多分こんなこと言ってるよね」というテンション。気持ちは分かる。が、結構困る。

 

いつだったか、欧州の作品を受注したのち、突然ストップがかかって広東語の作品と差し替えになったこともありました。その後、両作が時を同じくして配信に至った時は何ともいえない複雑な心境に。「あ、広東語!とりあえずオバトラに回しといて!」ってことだったんでしょうか。まさかね…

 

極めつけに、どこかの制作さんが対応しきれなかった中古広東語案件が回ってきました。ご事情はよく分からないのですが、別に素材に問題があるわけでもなく、フツーのドキュメでした。あれは一体何だったのか。

 

…とまあ愚痴ったところで残りの枚数が減るわけでもなし。普段どおり、コツコツと最後まで進めるだけでございやす。しかし、本気で舵取りを検討せねばならない時期に来たのは確かですな。ブツブツ…

 

誤解のないように記しておきますと、香港と香港の人々はめちゃくちゃステキでスキ・スキ・ダイスキです。本当に、本当に、作品に救われています。だからこそ、どれだけ大変でもやり遂げたいのです。ビシッとキメるぜいっ!!!