寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

バモスコロンビア

ニッポンの世間ではほぼスルーされているらしい女子サッカーワールドカップですが、我が家では毎日がどんちゃん騒ぎです。だってだって、住んでる街にW杯がやってくるなんて一生に一度あるかないかですもの。先週の火曜日には韓国vsコロンビアの試合を一家で観戦してきました。これがもう最高に楽しかった!

 

当日時間に余裕を持ってスタジアムに到着すると、外は既に大賑わい。Kpopダンスを披露するお姉さんグループ、どでかい被り物で練り歩くコンビアンたち、太鼓を鳴らしながら地元の高校生グループと盛り上がるコロンビアンたちの姿が。DJブースもありました。こりゃあ祭りじゃないか。両チームのサポーターが一緒にセルフィーを撮ったり、とっても和気あいあいとした雰囲気。中立の立場で思い切り楽しみたい私は両頬に国旗のフェイスペイントを入れてもらおうとブースに向かいましたが、タッチの差で日本から来たであろう女子サッカー集団たちの後ろに並ぶハメになり、30分間粘るもギブアップ。少女たちのキャピキャピぶりがまぶしかったです。未来のなでしこになってね。

 

チケットはスマホQRコードのみで、試合の当日にならないと発行されないという徹底ぶり。料金は非常に良心的でした。ちなみにスマホのチケットを見せれば試合当日は電車もバスもフェリーも無料で乗れます。簡単な荷物チェックを済ませ、スマホをゲートにピッと通して中に入り、席を確認し、混み合う前に昼食を調達し、席に着いてもぐもぐしながら試合開始を待ちます。試合前の練習のため選手がピッチに入ってくると、観客席から大歓声が。ここで既に涙腺崩壊ですよ。あの選手たちはどれだけのことを犠牲にして、どれだけの努力を重ねて、今日このピッチに立っているのかしら…頑張ってる人の鍛え上げられた肉体を見るのが大好物の私には、失うものなどありません。コロンビアサイドには選手を至近距離でチェキラしたいサポーターが大勢押し寄せ、終始黄色い声を飛ばしていました。いよっ人気者!

 

そうしているうちに四方をコロンビアの人々に囲まれ、試合開始です。てか、平日正午開始の試合なのにみんな仕事休んで観戦に来てるのがさすがっす。サポーターの数はコロンビアが圧倒的に勝ってました。韓国の人々は割と真面目にお仕事でしょうか。そして試合開始直前に、すべり込むようにして隣の席に着いた青年が。秒速で上着を脱ぐと、もうコロンビアのユニフォーム姿です。こんなふうに男の子が一人で女子サッカーの試合を応援しにくるってことがキュンですよ。聞けば彼も仕事を休んでやってきたとのこと。次の試合のチケットも取ってあるそうで、頭が上がりません。

 

そしていよいよ(練習着からユニフォームに着替えた)選手入場。割れんばかりの歓声がスタジアムに響きます。ううう、ここで再び泣きそうになっちゃう。続いてコロンビアの皆さまによる全力の国歌斉唱、伴奏なんていらねー、音程よりも声量で勝負!な感じが好感度大です。それに比べて韓国の国歌はしっとりめで、お国柄の違いが際立ちます。試合開始のカウントダウンを待たずに、真後ろのコロンビア御一行さまは「バモスコロンビアーーーーー!!!!バモスチカーーーーーーーズ!!!!」この辺りで気づいたんですが、え、このテンションで90分…?

 

…ええ、そうでしたとも。ひとつひとつのプレーに律儀にリアクションをとるエネルギーが本当にすばらしいのですが、なにせキンキン声のギャルの勢いが止まらない(お酒入ってたしね)。前半終了間際に、とうとう上の子が泣きべそをかき始めてしまいました。うん、まあ、気持ちは分かるよ。ハーフタイムに入ったタイミングで御一行さまに席の交換を提案すると二つ返事で快諾してくださり、後半はだいぶ落ち着いて観戦できました。しかし彼らのハイテンションは後半も続きます。「みんな、ウェーブしようぜ!ウノ、ドス、トレス、おりゃーーーー!」と、スタジアム全体を巻き込んで3周くらい回してました。すごすぎだろ。

 

試合は2‐0でコロンビアの勝利。韓国も最後まで頑張ってましたし、サポーターも絶えず太鼓を鳴らしてテーハミングの大合唱がめちゃくちゃすごかったのですが、惜しくも無得点に終わりました。序盤に顔面キックを食らった選手、大丈夫だったかしら…。

 

何がよかったって、スタジアムの雰囲気ですよ。罵る輩も暴れる輩も皆無で、本当にファミリーフレンドリー。子供たちにとっても、すばらしい経験になりました。めでたしめでたし。…では物足りないので、実は来週もう1試合、オーストラリアvsデンマークを観に行ってきます。このタイミングで仕事がプチ修羅場となり、水・木と納期なんですけどね…バモーーース。